INTERVIEW 02 徳田雄一郎 YUICHIRO TOKUDA

1981年生まれ、千葉市出身。サックス奏者/ボーカリスト/作曲家。2003年、バークリー音楽院卒。06年、自らが代表を務めるインディーズレーベル「GoodNessPlus Records」を設立し、現在までに6枚のアルバムを発表。

出会いを重ねるたびに、
音楽はもっと自由になっていく

[P] ENZO / [HM] MADOKA TAKEDA / [TEXT] KENJI SUNOHARA

SESSION67の記念すべき第1回目のセッションでは、ダレン・バレットとケニー・ギャレットという、「自由」な音楽を愛し、「自分」というスタイルを貫き続ける偉大なふたりから薫陶を受け、世界を舞台に活躍するジャズ・サックス奏者 徳田雄一郎に話を聞いた。~後編~

ダレン・バレットとケニー・ギャレット。
ふたりとの出会いが、今の自分につながっている

――では、徳田さんのターニングポイントともいうべき、『Nothing there』の誕生したきっかけは何でしょうか?

ダレン・バレットの存在ですね。ダレン先生は、ニューヨークとかで活躍している有名なトランペット奏者だったんですけど、ぼくがバークリーにいた頃に、アンサンブルのクラスを担当するようになって。ぼくは彼の作る曲がとても好きだったので、「作曲ってどうやってやるんですか」って聞いてみたんです。
そうしたらダレン先生は、「たとえば、おまえがこのドってメロディーを弾いたら、もちろんCメジャーって響くだろ? でも、コレも響くんだよ、コレも響くんだよ」って、次々に弾いていって。「ただ、コレは響かないけど、あえて響かないってことも、それはそれでいんだよ。セオリーなんて関係ない!」って。自分が好きな音を選んで、曲を書きはじめればいい。コレだと思うフレーズがあったら、そこにこだわって次につなげていけばいい、と。
やっぱりジャズは「自由」でいいんだと、ダレン先生の言葉で再確認して、そこからは曲作りが一気にテンポアップしました。ただ、先生が教えてくれたのは、最初の音に決して妥協しないっていう前提のある作曲法だったので、一音目を選ぶのにはとても時間をかけました。それは今も変わりません。そのおかげもあって、ぼくがオリジナルで書いた曲で、あとになってダメだと思った曲はひとつもない。ダメだったら、すでに最初の音を選ぶ時点で捨ててしまいますから。

――どんなレッスンだったんですか?

レッスン場所は、ボストンにあるけっこう広いスタジオでした。ギャレットがピアノ弾いて、ぼくがサックス吹いて。レッスンの途中、ふとギャレットが立ち上がって、スタジオの一番隅っこまで歩いていったんです。ぼくに、スタジオの正反対の場所に立つようにいって、「そこで、ちょっとなんか吹いてみろ」って。
そのときギャレットがいってくれたのは、「キミの音には芯がある。オレがこんな離れたところに立っているのに、キミの音は、オレの胸までしっかり届く」って、自分の胸をたたきながら。「キミはその音を大事にしろ」って、いってくれたんです。
ふたりで楽器屋に行ったとき、ギャレットが目の前で試奏しているのに感動しながら、なにげなく「リードって、どうやって選ぶんですか」って質問したんです。普通、サックスのリードで使うのは、ひと箱10枚のうち数枚。硬かったり、薄すぎたり、状態が悪いものも入っているので。でも、ギャレットは、もちろんメーカーは選びますけど、あとは選ばない。全部のリードを使うっていうんですよね。ぼくが「硬かったり、薄すぎたり、いろいろあるじゃないですか」って聞いたら、「それは違う。どんなリードでも吹ける体をつくるんだ」って。そのためにオレは、酒もタバコもやらないし、毎日10km走っているといわれました。それからですね、ぼくもまったくリードを選ばなくなったのは。
リードにせよ、楽器せよ、変えはじめると悩むのが、サックス奏者というものなんですけどね。ギャレットは、楽器も変えない。「楽器は出合いなんだ。自分がそれでいいと思ったら、それでいいんだ」って。こだわりをもたないないことがギャレット流のこだわりだって、ぼくには感じられました。

自分も、サックスも、音楽も、
変わり続けるのがおもしろい

――まるで、リードとセッションしているみたいですね?

そうそう。ギャレットが教えてくれたことも、ダレン先生が教えてくれたことも、根っこの部分は同じなんじゃないかって、今は思います。やっぱり、ジャズは「自由」なんですよ。
毎回、日本に帰ってきて思うのは、日本の音楽の環境は本当に恵まれているってこと。楽器屋は多いし、楽器の種類もリードの種類もたくさんある。アメリカより充実している部分もあります。ただ、どんな贅沢でも自由にできるってことは、逆に不自由なのかもしれない。選べない環境でやっている人は、迷う必要がないんですからね。
そういう意味でいうと、海外で経験するいろいろなトラブルも、決してマイナスではないって気がします。楽器がそろわなくても、音響が悪くても、シンバルの代わりに銅鑼を叩いても、その状況でしかできない演奏を楽しめればいいってことなのかもしれない。それに海外へ行くと、乾燥しているとか、標高が高いとか、寒いとか、空気が良くないとか、条件の悪い中で吹くことも多いんですよ。でも、最初からそんな状況が嫌にならなかったのは、ふたりの先生の教えが心にあったからかも。
いろいろな環境の中で演奏していくと、サックスという楽器自体がいろいろな空気を吸収して、日本に戻ってきて演奏するたびに、音が変わっていきます。音色が豊かになって、確実に良くなっているんです。もちろん、ぼくの体そのものが、いろいろな空気や水、食べ物を吸収することで変わってくる。体はミュージシャンにとって楽器の一部ですから、当然、音も変わるし、作る曲も変わっていく。

――では最後に、今後の活動の展望を教えてもらえますか?

最近ではBS-TBS開局15周年特別企画『伊藤英明の大シベリア』の音楽に参加したり、映画『テラフォーマーズ』にサックス奏者として出演したり、今年の夏に開催される、コニカミノルタと漫画『宇宙兄弟』がコラボしたプラネタリウム企画の音楽をまかされたりと、ライブやフェスへの出演以外にもたくさんの機会に恵まれています。
今後は、もっとぼくのオリジナルの音を活かすというか、ジャズ・シーンから飛び出だしていきたい。ジャズ・サックス奏者としてだけではなく、音楽家として活動の幅を広げることで、ぼくにしか作れない音楽を、もっとたくさんの人に伝えていければうれしいですね。

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TOUR INFO

North Sea Jazz Festival, Rotterdam,Nerherlands.

2017.06.07(FRI)

ツアー参加メンバー
coming soon

Joris Posthumus Group
ヨリス・ポスティムス グループ
"Tokyo's Bad Boys" ニューアルバムリリースツアー in Europe VOL.2 Summer

2017.07.04 - 07.12

ツアー参加メンバー
ヨリス・ポスティムス (Alto & Soprano Sax) / 徳田雄一郎 (Alto Sax) / 中江裕気 (Tenor Sax) / 柳隼一 (Piano) / 徳田智史 (Bass) / 長谷川ガク (Drums)

MOVIE

LIVE

  • 2017.05.27 (SAT)
    徳田雄一郎RALYZZDIG 徳田雄一郎 (Sax & Vocal) 田村和大 (Piano) 鈴木直人 (Guitar) 大垣知也 (ElcBass) ませきゆうと (Drums)
    【東京都】大塚ミュージック・フェスティバル2017@JR大塚駅北口ステージ
  • 2017.05.30 (TUE)
    START 21:00
    徳田雄一郎&加藤晃司 徳田雄一郎 (Sax) 加藤晃司 (Bass)
    【千葉県】Moon Blossom(千葉県千葉市中央区新千葉2-16-11 鈴木ビル1F)
  • 2017.06.03 (STA)
    OPEN 18:30
    PPC Art Salon リニューアル記念ライブ PLV講師陣多数出演 Supecial Guest : 徳田雄一郎 (Sax)、ませきゆうと (Drums)
    【千葉県】PPC Art Salon(千葉県千葉市中央区市場町2-6)
  • 2017.06.24 (SAT)
    START 19:00
    徳田雄一郎RALYZZDIG 徳田雄一郎 (Sax & Vocal) 田村和大 (Piano) 鈴木直人 (Guitar) 大垣知也 (ElcBass) ませきゆうと (Drums)
    【千葉県】Clipper(千葉県千葉市中央区中央港1-24-14 シースケープ千葉みなと1F)