INTERVIEW 12 山田 丈造 TAKEZO YAMADA
1991年生まれ、札幌市出身。トランペット奏者。父の影響でジャズを聴き始めると、9歳から札幌ジュニアジャズオーケストラに参加。2012年、プロとして音楽活動を開始。2014年には全員が北海道出身のバンド「North Pandemic Groove」を結成。そのほかにも竹村一哲らと結成した「maziwaris」、ソウルバンド「Shunské G & The Peas」への参加など、活動は多岐にわたる。
他の誰にも吹けない
自分だけの音楽をめざしたい
[P] ENZO / [TEXT] KENJI SUNOHARA
ハード・バップやファンキー・ジャズを心に刻みながら、ジャンルにとらわれることなくセッションを重ねていくことで、そのときその瞬間、自分の思う最高の音楽を楽しんでいく。今回は、ジャズをバックボーンに、新しい音楽を生み出すことに挑戦し続けている、注目の若手トランペット奏者、山田丈造さんにお話をうかがった。(前編)
学校に行って誰かに習うのではなく、
音楽の現場で学んでいこうと心に決めた
――プロフィールを拝見したところ、ジャズファンである父親の影響からジャズが好きになり、9歳から札幌ジュニアジャズオーケストラに参加したということですが、トランペットを始めたのもそのとき?
そうですね。ピアノはちょっとやっていましたけど、トランペットを吹いたのは、ジャズオーケストラに参加したときがはじめてですね。
――トランペットを始めたきっかけは何だったんですか。
父親はジャズのLPマニアだったんですが、日野皓正さんのジャケットを見て「トランペットってカッコいい!」って(笑)。曲とかじゃなく、まずカタチ。金ピカ最高って、子ども心に思ったのがきっかけかな。
――では、それからトランペットの本格的なレッスンを受けたりとか。
クラシックの奏法を2回くらい習いましたよ。ただ、ジャズに関しては誰かに習ったことは一度もなくて、音楽の学校にも行ってない。
高校時代から、札幌にあったジャズの店で演奏させてもらったりはしていましたけどね。そこで東京からきたジャズミュージシャンの方たちに出会って、プロの演奏を間近で聴いているうちに、自分もなりたいなって。
もちろん、音大に行ってみたいと思ったこともありましたけど、自分には学校より、現場で学んでいる方が性に合っている気がしたので、そのまま音楽を続けようって思いました。
――実際にプロとして活動を始めたのは2012年?
音楽活動だけで何とかなるようになったのは、ちょうどそのくらいかな。最初は札幌を活動の拠点に、東京と地方ツアーを行ったり来たり。2016年になって、拠点を東京に移しました。
――活動の拠点を東京に移したいちばんの理由は?
北海道にいたときからバンドを組んで、いろんな音楽をやっているメンバーとセッションしてきたんですけど、やっぱり札幌はせまい街なので、ミュージシャンの数も多くない。だから、もっといろんな人と出会って、自分が理想とするジャズのバンドを作りたいっていう思いがあったのが、理由のひとつですね。
――理想とするジャズというと?
1950年代中旬~後半くらいにピークを迎えた、いわゆるハード・バップとか、ファンキー・ジャズが、ぼくは好きで。アート・ブレイキーとか、ホレス・シルヴァーみたいなジャズをやりたいんですけど、そういう音楽を全力でやれるメンバーはなかなか見つからないんですよ。
――どんな編成でやりたいとか、バンドのイメージは?
2管とか3管編成でやりたいですね。今、そういうバンドって、東京でもかなり少ないんですけど、できれば同世代くらいのメンバーと一緒に、新しい音楽をやれたらうれしいなって。
――たとえば、過去・現在、国籍も問わず、誰とでもバンドを組むことができるなら、組みたいミュージシャンは誰?
うーん……。テナーサックスでいったら、アート・ブレイキーのバンドにもいた、ベニー・ゴルソンは好きですね。チャールス・ミンガスのバンドとかで吹いていた、ジョージ・アダムスとかも。アグレッシブなジャズをやっている人たちと一緒にバンドができたら、いいですよね。
何かに憧れて、その背中を追いかけるのではなく、
そのとき一番いいと思える自分らしい音を吹きたい
――ちなみに、トランぺッターとして好きな人は?
それはもちろん、日野皓正さん。
――日野さんのトランペットの、どんな部分が好き?
これは人によって意見が分かれると思いますが、ぼくのとらえ方としては、日野さんのトランペットはすごく明るいと思う。ダークだったり、ブライトだったり、いい音色のとらえ方はいろいろありますけど、トランペットはバンドの花形。そういう位置づけにぴったりはまっているというか、ぱかーんと明るい演奏をされている日野さんが大好きです。
だから、リー・モーガンとか、ルイ・アームストロングも好き。彼らみんなに共通しているのは、すごく明るいってことかな。
――マイルス・デイヴィスではないんですね?
もちろん、マイルスも好きですよ。ただ、マイルスのトランペットはダーク。バンドのスタートしてマイルスが「帝王」なら、日野さんやルイ・アームストロングは「王様」だなって。だから、マイルスという存在に憧れはするけど、ぼくがなりたいトランぺッターというか、目指している音とは違うと思う。
――それなら、日野さんにいつか師事してみたい?
そうなると、また別の話なんですよね。もちろん大尊敬していますし、大好きなんですが、師事したいかというと……。
もし、トランペットを教えてもらえるんだとしたら、故人ですけどフレディ・ハバードとか、ブルー・ミッチェルとか、ケニー・ドーハムかな。どういうふうにやってるのって、聞いてみたかったですね。
――その答えはちょっと意外でした。
子どもの頃から日野さんのレコードや演奏をたくさん聞いてきて、そういう意味ではすごく勉強させてもらったと思う。でも、そもそもぼくは誰かのコピーをするのが苦手というか、あまり好きじゃない。だから、あえて誰かに習わなくてもいいかな、と思っています。
――では、ニューヨークに行ってジャズを学んでみたいとかも?
一切ないですね。ジャズの中心は今も昔もニューヨークだと思うけど、世界のどこでやっていても、いい音楽はいい音楽だし、いろいろな場所に素晴らしいミュージシャンはいる。
たとえば、ニューヨークの人はニューヨークっぽい音を出すだろうし、東京の人は東京っぽい音を出しているのかもしれない。そもそも、その“っぽさ”というのが何なんだっていう話でもあるんですが、ぼくに関していうと東京の香りは全くないですし、それに憧れる気持ちもない。同じようになってみたいとも思いません。
だって、何かに憧れを抱いて、“っぽさ”だけを求めるのは、すごくカッコ悪いじゃないですか。
――それは、音楽と自然体で向き合っていきたいということ?
そうありたいですね。あまり無理すると、いいことないと思うんで(笑)。
こだわりがないわけではないですけど、少なくとも音楽をやっているときに、それを考える必要はないかなって。そのとき一番いいと思える、自分らしい音を吹ければ、それでいいんじゃないかって思います。
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RELEASE
北海道が産んだスーパー爆音バンドMAZIWARIS!
待望の1stフルアルバム、リリース決定!!!
様々なジャズレジェンド達のバンドを総なめにしている若手最重要人物、竹村一哲(ds)
竹村を幼少期から知り、数々のライブハウス、フェス会場の台風の目、山田丈造(tp)
顔の煩さでは世界一!!北海道産爆音ダイナミックギタリスト、碓井佑治(gt)
ソウル、R&B界の超新星にして、菅田将暉サポート等若手ポップス界の要、越智俊介(b)
4人の才能がマジワリあう!!!
- 2018年7月8日発売
1st full album
MAZIWARIS
MOVIE
LIVE
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2018.08.19 (Sun)
START 18:00〜 -
山田 丈造
山田丈造(Tp)、高橋佑成(P)、古木佳祐(B)、山田玲(Ds)
【東京都】江古田 そるとぴーなつ(練馬区栄町4-3 グレーシー マンション B1F)
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2018.08.19 (Sun)
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2018.08.14 (Tue)
START 20:00〜 -
山田 丈造
山田丈造(Tp)、浅利史花(Gt)、三嶋大輝(B)
【東京都】大塚 ドンファン(豊島区南大塚2丁目32-8)
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2018.08.14 (Tue)
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2018.08.12 (Sun)
OPEN 12:00〜 -
山田 丈造
山田丈造(Tp)、工藤拓人(P)、越智俊介(B)、竹村一哲(Ds)
【東京都】新宿 PIT INN<昼の部>(新宿区新宿2-12-4アコード新宿 B1)
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2018.08.12 (Sun)
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2018.07.26 (Thu)
START 20:00〜 -
山田 丈造
山田丈造(Tp)、工藤拓人(P)、越智俊介(B)、竹村一哲(Ds)
【東京都】高田馬場 Gate one(新宿区高田馬場2-8-3 佐々木ビル東館B1)
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2018.07.26 (Thu)
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2018.07.08 (Sun)
OPEN 18:30〜 -
山田 丈造
MAZIWARISレコ発ライブ
MAZIWARIS 山田丈造(Tp)、碓井佑治(Gt)、越智俊介(B)、竹村一哲(Ds)、ゲスト:工藤拓人(Key/pf)
【東京都】三軒茶屋 yoncha(世田谷区三軒茶屋2-14-12三元ビル501)
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2018.07.08 (Sun)