INTERVIEW 18 石川早苗 SANAE ISHIKAWA

幼少期からピアノ、演劇などに親しみ、高校入学とともにヴォーカルを始める。大学卒業後、プロ活動を開始し、次第にジャズに傾倒。2007年に『Feel Like Makin' Love』をリリースし、ジャズ専門誌から絶賛を受ける。年間200本を超える精力的なライヴ活動のほか、ヴォイストレーニング講師としても活動。現在、ニューアルバム『Seasonal Japanese Songbook “冬 –Winter–”』と『Grown-up Christmas Gift』を11月1日に発表。
『Seasonal Japanese Songbook Project』を進行中

J− POPの名曲をジャズでカバー
新しい試みに挑んだ意欲作とは

[P] ENZO / [TEXT] ENZO

J−POPの名曲を四季に合わせてリリースしていくプロジェクトの第一弾『Seasonal Japanese Songbook “冬 –Winter–”』と、クリスマスソングの名曲をメドレーで歌い上げる、クリスマス・ミニアルバム『Grown-up Christmas Gift』を11月に同時リリース。ジャズシンガー・石川早苗さんに、作品に込めた想いをうかがった。(前編)

妥協することなく素敵なものを
愛と平和、そして日本の美しい四季を感じてもらいたい

――『Seasonal Japanese Songbook “冬 –Winter–”』と『Grown-up Christmas Gift』の2枚同時に発表されましたが、どのようなアルバムですか?

『 “冬 –Winter–”』は『Seasonal Japanese Songbook Project』といって、冬、春、夏、秋のシリーズを通して、四季を感じるようなコンセプチュアルなアルバムがあったら楽しいなと思って始めたプロジェクトの第一弾作品です。 私が子どもだった頃や青春時代に聴いていた、80年代から00年代くらいまでの、冬を感じるJ- POPの名曲を、ジャズギタリストの馬場孝喜さんにアレンジしていただきました。曲目は、「クリスマス・イブ」(山下達郎)、「恋人がサンタクロース」(松任谷由実)、「Everything」(MISIA)「サイレント・イブ」(辛島美登里)……etc. 素敵な曲ばかりです!
クリスマスミニアルバム『Grown-up Christmas Gift』の冒頭のメドレーは13分半の大作で、「恋人たちのクリスマス」や「Silent Night」など、誰もが知っているクリスマスソングの名曲が7曲も続きます。
どちらのアルバムのアレンジも、「歌謡曲とクリスマスソング」というオファーで馬場さんとご一緒した時に作っていただいたものなのですが、ライブ1回で終わってしまうのはもったいないなと思うくらい、すごい良かったんです。もっと多くの人に聴いてもらいたいと思ってレコーディングを決めました。それが今回のプロジェクトの発端とも言えます。

――ジャケットも素敵ですね。

ありがとうございます。クリスマスアルバムのジャケット、絵本みたいで可愛いでしょう? このアルバムはチャリティーアルバムとして作りました。
メドレーの最後はジョンレノンの「Happy Xmas」なんですが、彼の「平和なクリスマス」への願いを、私もこの作品に込めています。 日本全国で災害があったり、また、地球上には困っている人がたくさんいて、以前から微力ながらも何かできればと、できる範囲で行動してはきましたが、もっとコンスタントに支援ができないものかと。
それで、購入いただいたお金の一部を、その時送るべきところに届けられるための作品を作ろうと決めました。私が歌っていることが誰かへのギフトになればいいなと。デザイナーさんにそういう想いを伝えたら、こんなに可愛いジャケットにしてくださいました。

――制作にあたって、クラウドファンディングに挑戦されたとのことですが。

いいモノを作りたいという想いと、たくさんの人にこの作品に関わってもらいたくて、思い切ってチャレンジしてみました。
ここにもう少しこだわりたいって時に、妥協するのではなく、ちゃんと思っているものを作って届けたかったんです。私の大好きな尊敬するミュージシャンの方たちに参加していただいて、音はもちろんのこと、トータルで「モノ」として楽しんでもらえるシリーズにしたかった。だからジャケットとか装丁にもこだわって作りたかったんです。
シリーズ方のジャケットは墨象家の知麻さんの作品です。彼女の作品に一目惚れして、書き下ろしていただきました。
いまはCDが「モノ」としてあまり必要とされていない時代になってきているでしょ? でも、時代と逆行しているようだけど、CDを手に入れるワクワク感や、アルバム全体を通して聴く楽しみを感じられるような作品を作りたいと思っているんです。
知麻さんの書もその要素の一つ。「春」はどんな書なんだろう?ってワクワクしてもらいたい。 そして今回クラウドに参加してくださった方々が「自分が応援した作品」として、愛着を持ってくれたりしたらとても豊かなのではないかと思って。私と皆さんが作品を作るという「コト」を通して1つのチームになるような感じと言ったらいいのかな。皆さんが応援してくださったからこそ出来た作品なので。

――やってみてどうでした?

みなさまにたくさん賛同いただけて、感謝してます!
おかげさまで、妥協することなく、音にも装丁にもこだわった、自分が思っていた150%、いや、200%の想像を超えるイイものを、みなさまにお届けすることができると思ってます。本当にチャレンジして良かったです。

普段ジャズを聴かない人にも届いたらいいな
思い出に寄り添う、色褪せない景色

――早苗さんの思い出深い曲も入ってるんでしょうか?

『 “冬 –Winter–”』では、ユニコーンの『雪が降る街』。高校生のとき、ユニコーンはすでに解散していたんだけど、私はフォークソング部に入ってて、すっごい大好きで。いっぱいみんなで聴いてた。楽しかった高校時代を思い出す曲です。音楽って思い出に寄り添うというか、色あせない景色を蘇らせてくれますよね。思い出深い曲はありましたか?

――もちろん! あの曲がこういうふうになるんだと、青春時代を思い出しながらも、とても新鮮でした!
ところで、普段のライブではスタンダードナンバーを歌うことが多いかと思うのですが、なぜJ−POPをカバーしようと考えられたんですか?

確かにジャズのライブでは、洋楽のスタンダードナンバーを英語で歌うことが圧倒的に多いのですが、日本語の歌詞をつけたオリジナル曲を歌ったり、リクエストいただいて日本のアーティストの曲を歌ったりすることもあります。
その中で、あらためてJ-POPには名曲が数多く存在することや、日本語の歌詞がオーディエンスのみなさんへ伝わる、その力の大きさを実感して、自分と同世代の方たちとか、普段ジャズをあまり聴かない人にも、ジャズを聴いてもらえるきっかけになったらいいなって。

――なるほど、ところで先ほど、高校生の時にフォークソング部だったとおっしゃってましたが?

そう。フォークソング部という名の軽音部です。「JUDY AND MARY」の曲などを、学祭とか、定期演奏会とかで歌ってました。チョー楽しかった。思い出がキラキラしてる。

――ヴォーカル一筋ですか?

歌は高校生からで、ちっさな頃はクラシックピアノを習ってました。ピアノが魔法の箱みたいに思えて。幼稚園の頃は、家にピアノがなかったから、ピアノがあるお家に遊びに行って、「ピアノを弾かせてください!」っていって、弾かせてもらってました。さすがにご近所に迷惑だろうと、小学校に上がる時に、お祝いでピアノを買ってくれて、レッスンを受け始めました。でも、練習が好きじゃなくて。

――ピアノが好きだったんですよね?

即興的に音を出して、綺麗な音が出てるっていうのが楽しかったんです。あと、好きな曲は一生懸命練習するけど、好きじゃない曲は全然練習しないっていうか、すごいムラのある子どもでした。

――いつまでピアノを習われていたんですか?

中学生になってバスケットボール部に入ったんですが、それで忙しくなって。2年生の時には、ピアノのレッスンはいけなくなって辞めちゃいました。バスケが楽しくなっちゃって。「スラムダンク」世代なので。流川くんがかっこよかったなぁ。でも高校生くらいまで、クラスで合唱する時の伴奏は、私が弾いていましたよ(笑)

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RELEASE

誰もが知っている冬の名曲の数々を、これ以上ないというくらいしみじみと歌い上げた、石川渾身の傑作アルバム。冬が終わらないで欲しいとさえ思うほど、いつまでも聴いていたくなる、2018年という年の終わりに訪れた、優しい陽だまり。

発売中
album
Seasonal Japanese Songbook Project
冬 -WINTER-

MOVIE